Sunday, April 24, 2005

心を揺らす事

もともと歌うことが大好きだった。
小学校のとき、音楽の先生が私の歌をとても褒めてくれたから。
中学では音楽部がなかったから、下の兄のまねをして、陸上部に入った。
高校では念願の音楽部に入り、
授業はサボっても放課後の部活だけは欠かさなかった。
「音楽なしでは生きられない」と、思っていた。

大学へ入って、小さなグループを作って、
コンクールや演奏会と、歌うこと中心の日々。
ステージ本番よりも、練習がなにより好きで、
ああしたい、こうしたいと、同じ曲でもいろんな解釈をして
作り上げていくことが楽しい。

でも、社会人になり、以前のようには活動もできなくなった。
私の興味も、音楽以外のことへ向けられることが多くなった。
自然と歌から離れていった。
「歌なしでは生きられない。」本気で思っていたのに、
なければないでも、私は生きてる。
確かに感じていた、あの時の充実感は失われたけれど。

最近、後輩達が中心となって新しい合唱団を作った。
「また一緒に歌わないか?」と誘われ、また歌をはじめた。
今日も母校で練習。
練習したのは Clement Janequin作曲の、
「Ouvrez moy l'huys(開けておくれよ この戸口)」という曲。
夜、親の目をぬすんで逢い引きする恋人達の様子を歌った、
ルネサンスのア・カペラの歌だ。
窓を開けてと恋人にお願いする彼と、
まだお母さんが起きてるわ。見つかったら怒られる、と
困ってしまう女の子の会話がドアをはさんでかわされている。
とても明るく軽快な曲。

久しぶりの歌だし、思うようにはまだできないけれど、
この雰囲気が懐かしい。
私がかつて、とても好きだったことの一部をそっと感じた日だった。

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