Monday, August 15, 2005

父、帰る

「父、帰る」を観ました。

私の父も、不器用で、特に家族の間で会話を楽しむということが苦手な人です。
だから、私の幼い頃の記憶をたどった時、はじめに脳裏に浮かんでくるのは、言葉とか、表情とかではなく、荒川の土手の風景です。そして、感じることは、そこに私の家族がいたということです。

「父、帰る」も、風景と、存在感の映画でした。
父親が本当は何をしたかったのか、言いたかったのかは分かりません。
でも、答えは感じるものであって、その時苦しいことだけだと思っても、きっとそこには記憶に残る風景があり、そして雨の音があり、一緒に過ごした時間の中に、必ず父親の思いを垣間見ることができる。

景色は、時間の流れを容赦なく映し出す。
灰色の風景。鮮やかで目を見張らせる青空と真っ白な雲。何度となく打ち付ける雨。
その中で、子供は父親から何かを学び、反発する自分と向き合いながら、成長する。
切り取られた断片を見ると、そこにあるのは確かな幸福だったりする。

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